この街角で

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変わらぬ風景

Mt.Fuji




君に見せたい景色があった。
絶景などではなく、大した景色じゃないのかもしれないけど。

君がどのような顔でそれを眺めるのかも、どのような感想を口にするのかも、全て分かる。
目の前にいるのかのように、鮮明に見る事が、聞く事ができる。

君を永遠に失ってしまった今でも。

どうして、君はここにいないんだろう。
どうして、それでも同じように朝はやってくるのだろう。
どうして、以前と同じように太陽は輝くのだろう。


どうして、僕は一人でこの景色を見ているのだろう。





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  1. 2007/07/17(火) 23:26:08|
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  3. | コメント:2

夏のスープ

pumpkin_soup




行きつけのお店のメニューに冷製スープが増えていた。
もう夏なんだね。
僕は、この店の冷たいスープが好きだ。
ちょっと塩がキツめで、味がしまっている。

なのに、今日はあまり美味しく感じない。

去年、君は「美味しいね。」なんてはしゃぎながら、このスープを食べていた。
あれから、もう1年経ってしまったなんて嘘みたいだ。
僕達は、ここの冷たいスープを夏の間に何度も味わった。
君は、ヴィシソワーズがお気に入り。
そして、たまにグリーンピースのスープを頼んでは、そのきれいな緑色に見とれていたっけ。
僕は、いつもパンプキンスープだった。

今年は、君がいない。
遠くの街も、ここと同じように暑いのだろうか。
その街に、美味しいスープを出す店はあるのだろうか。


君は、秋には帰って来る。
昨秋の終わりに君がいなくなってから、お互い忙しくしているうちに、思ったよりもあっけなく季節は過ぎていた。
初めのうちは寂しかった気持ちも、それなりに落ち着いて、自分の事に没頭する日々が続いていた。

でも、このスープを目の前にすると、君のいない夏が、とても空虚なものに感じてくる。
堪らなく君に会いたい。
こんな女々しい自分に、ちょっと苦笑する。


待っていても、あと2ヶ月もすれば君は帰って来る。
分かっている。
でも、今度の休みには、君に会いに行こう。
同じ夏は2度とはやって来ない。
君がいないなんて、僕にとっての今年の夏は、夏では無いも同然になってしまうのだ。





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  1. 2007/07/15(日) 19:06:20|
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  3. | コメント:0

雨上がり

hydrangea




雨上がりのある日、そいつは突然やってきた。

その日、僕は朝からツイてなかった。
悪い夢にうなされて起きると、目覚まし時計は壊れていて、起きるはずの時間はとっくに過ぎていた。
単位が危ない一限の授業にはすでに間に合うはずもなく、気落ちしたままベッドから起き上がると、今度は床に置きっ放しだった借り物の CD を踏んでしまった。
コーヒーを淹れようとすれば、粉が切れている上、サーバーを落として割ってしまった。
飛び散ったサーバーの破片を片付ける為に掃除用具を取りに行く途中では、柱に足の小指をぶつけた。
せめて朝食を食べようと、トーストを焼こうとすれば、パンにはカビが生えているといった具合だ。
まったくもって、こんな日には何も上手くいかない。

僕は何もかもを諦めて、冷蔵庫からビールを取り出し、タバコをふかしながらちびちび飲んだ。

せめて、昨日までのように雨が降っていたなら、雨に閉じ込められのんびり部屋で過ごしている気分を味わえていたのに。

そんな事を思っていた時、唐突にドアのチャイムが鳴った。

滅多に来客がないので、僕がその音を耳にするのはかなり久し振りの事だった。
それは、昨日までの雨の湿り気を含んでいるかのような、重い、絞ったら水が滴りそうな音に聞こえた。

僕は重い腰をあげ、玄関ドアを開けた。


「こんにちは、ワタクシ、こういうものですが。」

そいつは、名刺を差し出しつつ、にこやかに言った。

奇妙なやつだった。
全体的にのっぺりとして、頭がでかく、愛嬌があるのに無表情。
名刺には、全日本雨対策協会、そんな訳の分からない文字が印刷されていた。

僕はにっこり笑って、ドアを閉じようとした。
そいつは、僕の動きを読んでいたかのように、ドアの内側に身体の一部を滑り込ませた。

「お話だけでも聞いてください。」

「いや、今から出掛けるんで、忙しいんですよ。」

そいつは部屋の中を一瞥し、鼻を鳴らした。
いや、鼻を鳴らしたような気がした。

僕の飲みかけのビールに顎をしゃくり、
「いやいや、随分優雅な時間を過ごされているんじゃないですか。」
と言いやがった。

こんな訳のわからない奴に付き合うのは嫌だと思いながらも、どうせ今日は朝からツイてない事の連続だし、それがもう1つくらい増えてもいいかという気分にもなっていた。
多分、僕は投げやりになっていたのだ。

そいつは家に上がり込むと、辺りを見渡し、
「なかなかいい部屋にお住まいで。」とかなんとか言い出した。

「で、どんな御用件で?」
僕は冷静に切り出す。

「ええ、あなた様及び妹様と、当方の間の契約についてなんですが。」

僕はびっくりして、言葉を失った。

その間に、そいつはテーブルの上に、書類を並べ始めた。

「ちょっと待ってくれ。契約も何も、あんたとは初対面だし、第一、イモウト?妹は僕とは一緒に住んでないし、一緒に何かの契約を交わすこともないはずなんだけど。」

「そんな事はありません。もう大分前の事なのでお忘れですか?」

そいつはそう言うと押し黙った。
気まずい空気が流れる。

僕はそいつがテーブルの上に並べた書類の1枚に手を伸ばす。
小さい文字の間に、"契約不履行の際" の文字が見えた。

よく読もうとした時だった。
そいつが低い声で話し出した。

「私は、私なりに頑張ったんですよ。
無理な願いも一生懸命聞き届けて、外に何日も吊るされて。
1つの願いならともかく、妹さんに至っては、マラソン大会の前日にはあろう事か、まったく逆の事を言い始め、私を逆さまにしたんです。
私だって、混乱しますよ。一体どうしたらいいのか、分からなくなります。
おまけに、ダメだったら、首を刎ねるなどと脅されて。
それでも頑張っていたのに、今では存在意義さえ・・・」

どんどん声が小さくなっていき、聞き取れないほどの声で何かをぶつぶつ言い続けるそいつから、目が離せなくなっていた。
僕は身動きの出来ないまま、そいつを見つめ続けた。
やがて、そいつはゆっくりと顔を上げた。
それは確かに見覚えのある ――。

 . . .

僕は飛び起きた。
そうだった。
梅雨の合い間の週末、昔持っていたはずの本を探す為に、実家に帰ってきたのだった。

先ほど、本棚の間から、子供の頃に妹と一緒に作ったてるてる坊主を見つけた。
いつの間にか、それを持ったまま寝てしまっていたらしい。

窓の外には、またいつの間にか雨が降り出していた。

僕は、長いこと放っておいたてるてる坊主の埃をぱぱっと手で払い、窓の外に吊るした。






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  1. 2007/07/14(土) 03:03:59|
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  3. | コメント:4

未明

dawn






気だるいような、爽やかなような、移りゆく空。
今までの人生で何度見ただろう。
その中の何回が、幸せな気分だったんだろう。


少しだけ見つけた、光るもの、ほのかな温もりを感じるものが、零れ落ちていく。

ちがう。

零れ落ちていくんじゃなくて、見失うんだ。





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  1. 2007/07/13(金) 04:14:55|
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Tea for Me

tea




自分の不安を誤魔化したくて、酷い事を言った。

本当は、君を傷つけたい訳じゃなかった。

不安を遠ざけたくて。
確かめたくて。

君は、僕を必要としているんだろうか?
こんな僕を?

そう思ったら、堪らなく不安になった。
本当なら、君の手を握り、ずっとそばにいて欲しいと言うべきだった。

些細なケンカが、僕の不安を大きくした。
傷つける為だけに言葉を使ってしまった。
君を傷つけたくなんか、なかったのに。


謝りたくても、言葉がもう出てこなくなってしまった。

 . . .

永遠かと思われた沈黙のあと、おもむろに君が立ち上がり、僕の横を通り過ぎた。

ああ、この部屋から出て行ってしまうんだ。
そう思った。

止めたいのに、足が動かない。

 . . .

しばらくして、君はティーポットとティーカップを持って戻ってきた。
呆然としている僕を無視して、無言のまま紅茶を煎れる。

やがて、ティーカップをセンターテーブルの端に置き、ジェスチャーでソファに座るように指し示す。
僕が座ったのを確認して、深呼吸を1つすると、
「さっきは私も悪かった。でも、あなたも最低だった。
 でもね、やっぱり落ち着いて話し合お?とりあえず、それを飲んで。」
と一息で捲くし立てた。

僕は、敵わないな、と思う。
君のこういうところに何度救われてきたか分からない。
本当に、君はすごい。

「・・・笑うところじゃないと思うけどな?」
君は不服そうに言う。

そんなところも、全くもって敵わない。

空気を一瞬にして変えてしまう、こんな事は僕には出来ない。

今度は、僕が、素直に謝る番だ。
こんな事で、君を失う訳には、どうしてもいかない。




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  1. 2007/07/12(木) 23:39:14|
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