
晴れた昼下がり、君と散歩に出掛けた。
日差しの柔らかい、春の事だった。
君はいつものように、僕の数歩前を歩く。
元気よく。
少なくとも、僕はそう思っていた。
いつもと変わらない午後の風景。
でも、その時の君の歩みは元気が良かった訳ではなく、怒りの為に勢いが良かったらしい。
しばらくして、振り向いた君の顔、そして放たれた言葉は、驚くべき物だった。
そう、少なくとも僕にとっては。
これまで通じ合っていた思っていた気持ちが、イキナリすれ違う。
君の言葉は、宇宙人の喋る言語の如く、理解が出来ない。
アナタハイツモミガッテネ。
ワタシノキモチナンテ、ドウデモイインデショウ。
そして、僕の喋る言葉も空回りをするように、君には届かない。
僕は、バベルの塔を思い浮かべる。
天にも届く塔を作ろうとした思いあがった人間達に、神様が下した罰の事を。
別々の言語を与え、意思の疎通を出来なくした事を。
僕と君の距離は、1億光年くらい離れてしまった。
それも、突然に。
僕は、君の事が好きだった。
何よりも大事だった。
でも、失ってしまったのは、きっと僕にも原因があるのだと思う。
僕は、1人で今もその原因を探している。
いつか、絶対に探し当てる。
そして、もう1度君に会いに行く。
君がどう思おうと、僕は君が好きだった。
そして、今でも。
きっと、失ったものは取り戻せない。
でも、君の中の何かを欠けさせてしまった理由を知りたい、そして、出来るなら、その穴くらいは埋めさせて欲しい。
それが、今の僕のささやかな願いだ。
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- 2007/06/17(日) 02:37:15|
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